
個人に身近な金融機関と言えばメガバンクや地方銀行、郵便局ですが、より地域や個人に密着した金融サービスを提供する金融機関として知られているのが「信用金庫」や「信用協同組合(信用組合)」です。
地域に密着したニーズにあった金融サービスを提供する信用金庫や信用組合ですが、近年では従来の個人向けローンに加えてカードローンを提供しているケースが増えています。
地域に密着した金融機関である信用金庫と信用組合の特徴とその違い、提供するカードローンの内容を見てみましょう。
中小企業・個人が対象の地域金融機関「信用金庫」
信用金庫とは、1951年(昭和26年)6月に制定された信用金庫法にもとづいて設置される、会員の出資による営利を目的としない協同組合の地域金融機関です。
「地域で集めた資金を地域の中小企業と個人に還元することにより、地域社会の発展に寄与する」という信用金庫の目的により、営業地域は一定の地域に限定され、融資対象となるのは個人と中小企業に限られています。
メガバンクや地方銀行よりも地域密着の金融機関として定着してきた信用金庫は、バブル崩壊前後の1990年(平成2年)頃から経営難により積極的な合併にふみきるようになり、2015年(平成27年)時点で265の信用金庫が営業しています。
金融ビッグバンにより統廃合が進んだ信用金庫
信用金庫同士の合併が加速した大きな要因が、1996年(平成8年)からはじまった「金融ビッグバン」です。金融業務の規制緩和を進めた金融ビッグバンにより、信用金庫でも投資信託など元本保証のない金融商品の提供も急増することとなりました。あわせて個人向け融資も強化されていて、特に住宅ローンやカードローンは高い伸び率を維持しています。
同じ金融機関である銀行・信用組合とはどう違う?
メガバンクや地方銀行、郵便局などと比べると、信用金庫は提供する金融サービスは同じでも、経営理念の違いで組織のあり方がそれぞれ異なります。
銀行はそのほとんどが民間の経営する株式会社であり、株主の利益が優先され、主な取引先は大企業です。これに対して信用金庫は、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組合の金融機関で、主な取引先は中小企業や個人です。
さらに、銀行と信用金庫の異なる点として、全国規模から県規模まで、比較的営業地域が広範囲になる銀行とは異なり、信用金庫の営業地域は一定の地域に限定されています。
信用金庫とは異なる「信用協同組合(信用組合)」
信用金庫と同様に地域に密着した協同組合型の金融機関が、「信用協同組合(信用組合)」です。
信用組合は信用金庫と同様に、預金の受け入れ、資金の移動や貸し出し(融資、ローン)、手形の発行など、各種金融業務をおこなう金融機関の一つです。しかし根拠法や会員資格が異なり、業務範囲が信用金庫に比べて限定されるなど、さまざまな点で違いがあります。2017年3月現在、全国に151の信用組合が存在しています。
信用金庫・信用組合が提供するカードローンの特徴
このような違いがある信用金庫と信用組合ですが、どちらも地域経済の中心であることには変わりありません。
信用金庫と信用組合は特に加入者数の多い個人向け融資に積極的ですが、近年では特にカードローンに力を入れています。どのような特徴があるのかを見てみましょう。
一つの信用金庫・信用組合で複数のカードローンを提供
消費者金融や信販会社、銀行など、全国展開しているカードローンは、一般的に一社につき一つのサービスを提供しています。それに対して信用金庫や信用組合では、複数のカードローンを用意していることは珍しくありません。
目的・用途別のカードローンもある
カードローンの特徴として、借り入れたお金は事業性資金を除いてさまざまな用途に利用できることがあげられます。
信用金庫や信用組合のカードローンも基本的にどのような用途にも利用できますが、中には用途や目的を絞ったカードローンもあります。
借入条件は限定的であることが多い
目的や用途に応じてさまざまなカードローンが用意されている信用金庫・信用組合のカードローンですが、借入条件を見てみると銀行カードローンと比べると限定的と言えます。
限度額数十万円、実質年率10%台後半という借入条件も珍しくなく、大きな借り入れには向いていると言いにくい部分があります。
おわりに
地方銀行と同様に地域経済に密着した金融サービスを提供する信用金庫・信用組合は、その方針に沿ったより需要にあったカードローンを提供しています。
カードローンの利用を考えるときには、信用金庫や信用組合のカードローンも有力な選択肢の一つと言えるかもしれません。