影響はどこまで拡がる?銀行カードローンの規制強化と信用保証の仕組み

影響はどこまで拡がる?銀行カードローンの規制強化と信用保証の仕組み

影響はどこまで拡がる?銀行カードローンの規制強化と信用保証の仕組み

日本貸金業協会は、銀行カードローンの「信用保証」をおこなう消費者金融会社などに対し、過剰融資の対策強化を求める方針を明らかにしました。
2017年3月の申し合わせから、徐々に審査・貸し付けを厳しくしている銀行カードローンですが、今回の決定はどのような影響があるのでしょうか。
今回は、信用保証がどのようなものであり、明らかにされた方針はカードローンの利用にどのような影響を与えるのかを見てみましょう。

そもそも「信用保証」とはどのようなものなのか

そもそも信用保証とは、独力で金融機関から融資を受けられない企業が利用する仕組みとしてはじまりました。企業向けの信用保証とカードローンの信用保証の違いを見てみましょう。

企業が融資を受けるためにはじまった信用保証

企業は信用保証協会や信用保証会社などに料金を払って保証を受け、金融機関から融資を受け、何らかの理由で企業が返済できなくなったときは信用保証協会が返済を肩代わりします。
カードローンでも同じような仕組みを採用していますが、この場合は保証をおこなうのは信用保証協会ではなく、消費者金融や信販会社などの貸金業者が主体となります。

保証会社が間に立つカードローンの信用保証

カードローンの場合、信用保証は利用者と金融機関の間でカードローンの利用に関して保証契約を結び、保証会社は契約を結んだ金融機関から保証料を受け取り、利用者の支払いが滞ったときにローン利用者に代わって返済をおこない、資金の回収を進めることとなります。

双方の保護につながる信用保証

このように利用者と金融機関の両方に金銭面での負担を強いる信用保証制度ですが、この仕組みは金銭面以外では双方にいくつかのメリットがあります。
利用者側から見ると、審査に関する充実したノウハウを持つ保証会社が審査に関わることで審査時間の短縮が期待できるので、素早い審査・融資が期待できます。
金融機関側から見ると、ノウハウを持つ保証会社に審査を外注できるのはもちろん、仮に返済に問題が起きても、保証会社が代わりに対応してくれるので、コスト面での負担を小さくすることが期待できます。
一見無駄が多いようにも見える信用保証制度ですが、実は双方の権利の保護につながるだけではなく、メリットが期待できる仕組みでもあるのです。

今回の方針で明らかになった今後の方針

今回の方針では、信用保証業務をおこなう貸金業者に対して審査の徹底が要求されました。その具体的な内容はどのようなものでしょうか。
ローン返済に保証を与えるかを審査するときには、資金の使い道の確認を徹底するほか、低所得者の申し込みへの相談を充実させることが求められています。
これらの方針は、カードローン利用者の中で多重債務者が増加することに対する懸念の声が強まっていることから、対応を拡充する必要があると判断されたことが背景にあるようです。

今回の方針の主な対象は銀行カードローン

このように従来よりも審査・融資が厳しくなることが明らかな、日本貸金業協会が発表した今回の方針ですが、主な対象となるのは意外にも貸金業者のカードローンではなく、銀行カードローンとなっています。
なぜ、管轄外の銀行カードローンの審査・融資に関して、日本貸金業協会が方針を決定しているのでしょうか。その背景には、銀行カードローンの融資額の増大が影響していると考えられます。
銀行カードローンは銀行法の監督下にあるため、融資額の上限を年収の3分の1とする、貸金業法による総量規制対象外であることが知られています。
借入条件で貸金業者のカードローンと比べると有利であることと合わせて、銀行カードローンの貸付残高は増加の一途をたどり、2017年6月末時点での銀行カードローンの貸付残高は5兆6793億円と、19年ぶりの水準となっています。
全国銀行協会は2017年3月、過剰融資を防ぐため借り手の収入を正確に把握する申し合わせをおこない、銀行各行は貸付条件の厳格化を進めています。しかし一部には対応が遅れている銀行もあり、貸金業協会は保証会社を通じて、証明書の提出基準を厳格にするよう銀行にはたらきかける意図があるようです。

おわりに

手軽で便利にお金が借りられることから急速に普及したカードローンですが、貸金業者を中心にグレーゾーン金利や多重債務、過剰融資など、さまざまな問題の対応が求められてきました。
今後は銀行のカードローンに対して融資条件の厳格化が求められ、手軽で便利と言えなくなりそうです。

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