
近年急速に貸付残高が伸びている銀行カードローンについて、監督官庁の金融庁が「審査態勢が不十分」などと一部の銀行の業務運営を問題視する調査結果をまとめたと報じられました。
利用トラブルの増加が報じられているカードローンですが、仮に利用トラブルに巻きこまれたとき、どこに相談すればよいのでしょうか。金融庁のレポートと合わせて見てみましょう。
金融庁が指摘した銀行カードローンの問題点
無担保で多額のお金を貸す銀行カードローンは、総量規制の対象外であることや消費者金融カードローンと比べると有利な借入条件などから、貸付残高が急増。すでに消費者金融カードローンの貸付残高を上回るまでになっています。
利用トラブルの増加と銀行が導入した自主規制
銀行側も積極的な貸付を進めているため、従来の消費者金融カードローンに代わって銀行カードローンで利用トラブルが急増、広告や審査の見直しなど、自主規制を強めていました。しかしトラブルの急増を問題視した金融庁が実態調査をおこない、今回の調査結果の発表につながりました。
全体的な見直しを求めたレポートの概要
今回の調査結果は金融庁が一年に一度発表する「金融レポート」に掲載される見通しですが、報道によればレポートのポイントとして、
- 客の収入状況を証明書などでチェックできていない
- 融資時に他行からの借り入れ状況を考慮できていない
- 債務保証をしている消費者金融の審査に依存している
- テレビやネットでの大々的な広告宣伝
といった問題点があげられ、改善の余地があることを指摘するもののようです。
金融庁はすでに、大手銀行や一部の地方銀行など10行程度の目安に、カードローンに対象を絞った立ち入り検査を実施する方針を明らかにしています。
立ち入り検査とリポートで問題点を明確にして、すでに導入している自主規制に重ねて業界に適正な融資を求めるものとしています。
金融庁が立ち上げたカードローンホットライン
カードローン利用に関するトラブルが尽きないことから、金融庁は2017年(平成29)年9月1日に「カードローンホットライン」の開設に踏み切りました。
カードローンに関する情報を幅広く把握する受付窓口であり、このホットラインに寄せられた情報は、今後の検査・監督に活用するとしています。
名称:「カードローンホットライン」
開設日:平成29年9月1日(金)14時
受付時間:平日10時00分~17時00分
電話番号:0570-00-6825(IP電話:03-5251-6825)
受付内容:預金取扱など金融機関(銀行、信用金庫、信用組合など)のカードローンに関する情報など
(例)
- 不適切な広告・宣伝、勧誘、取立て
- 銀行などがカードローンにより多額の貸付けを行った結果、返済が困難になっている事例など
※ご留意事項
- ホットラインの利用者の皆様と金融機関との間の個別トラブルにつきましては、お話を伺った上で、他機関の紹介や論点の整理などのアドバイスは行いますが、あっせん・仲介・調停をおこなうことはできませんので、予めご了承ください。
- ホットラインへの情報などの提供は、電話にておこなっていただきますようお願いします。
カードローンホットライン以外の相談先は?
今回開設されたカードローンホットラインは、あくまで情報提供を呼びかけるものであり、すでに起きているトラブルの相談窓口ではありません。では、カードローンの利用でトラブルが起きたときには、どのような解決の手段があるのでしょうか。主なトラブル解決の手段を見てみましょう。
法律法人・事務所
近年増えている過払い金返還請求訴訟を代行しているのが、法律法人・事務所です。一人または複数の弁護士が法律事務を業としておこなう事業体である法律事務所は、民事・刑事事件の弁護をはじめ、さまざまな法律トラブルの相談・解消に対応しています。
特に近年では、過払い金返還請求訴訟に関する相談をはじめ、カードローントラブルの相談を受けつけているケースも増えています。
司法書士法人・事務所
法律法人・事務所とおなじような役割が期待されているのが司法書士法人・事務所です。法律知識にもとづいて登記や供託の代理、裁判所や検察庁、法務局への提出書類を作成する「司法書士」の事業体である司法書士法人は法律法人・事務所とおなじように、法務関係に関する相談を受けつけているケースがあります。
日本司法支援センター(法テラス)
民間の事業体である法律法人・事務所や司法書士法人・事務所とちがい、国営の総合案内所として設置されたのが「日本司法支援センター(法テラス)」です。
生活上の法的なトラブルに対して解決に向けた情報を無償提供する法テラスは、どのようなサポートが受けられるかの相談や、無料法律相談などを受け付けています。
対応範囲は幅広く、カードローンのトラブルに関する相談も受け付けの対象です。
法律相談会
弁護士が参加する業界団体である「弁護士会」は、定期・不定期に各地で無料法律相談を受け付ける「法律相談会」を開催しています。
弁護士が参加するため、正しい法律知識による解決が見込める法律相談会は、積極的に利用したい仕組みの一つです。
おわりに
カードローンの審査・融資に対する厳格化が求められる昨今、万が一に備えてトラブル解決の方法を知っておくことは安定した借り入れ・返済にもつながります。
そもそもトラブルを起こさないのが一番なことは言うまでもありませんが、万が一トラブルに巻きこまれたときに備えて、どのようなトラブル解決の方法があるのかを知っておいて損はないでしょう。