
法律事務所が法令違反を犯したことで2カ月の業務停止命令が下された「アディーレ法律事務所」ですが、過払い金返還請求訴訟の最大手であったことから、手続きに混乱が生じています。
アディーレ法律事務所に過払い金返還請求訴訟を依頼していた人は、どのような対応をすれば良いのでしょうか。今回は、金返還請求の手続きが止まっている人は、どのような対応をすればよいのかを見てみましょう。
過払い金返還請求訴訟とは?
過払い金返還請求訴訟とは、法律上の不備によって生じた「返しすぎたお金」であり、現在では法律の改正と最高裁判所の判決により、時間をさかのぼって借り主が返還を求められる「過払い金返還請求」の対象とすることが認められています。
過払い金返還請求訴訟は独力でもできますが、専任の弁護士や司法書士に依頼するのが一般的です。最高裁での判例が出ていることから多少の法律知識があればほぼ確実に成果となるため、多くの弁護士法人や司法書士事務所が先を競って取りあつかっていました。その中でも圧倒的な取りあつかい件数を誇ったのが、今回業務停止命令が下されたアディーレ法律事務所です。
問題となったアディーレ法律事務所の広告
アディーレ法律事務所の一連の行為の中でも問題とされたのは「過払い金返還請求の着手金を一定期間無料にする」と期間限定のように宣伝しながら、実際は5年以上に渡って継続的に実施していた点です。こうした宣伝手法は情報の受け手に有利さを錯覚させる「景品表示法違反(有利誤認)」に当たるとして、法人としてのアディーレには2カ月、アディーレの代表である石丸幸人(いしまる・ゆきと)弁護士には3カ月の業務停止命令が下されました。
アディーレ法律事務所に手続きを申し込んでいた人はどうすれば良い?
今回の法人に対しての業務停止命令は、10月11日から12月10日までの2カ月に渡ります。その間に過払い金返還請求訴訟はどのような手続きが必要となるのでしょうか。
1カ月以上の業務停止は受任中の手続きの辞任対象となる
懲戒処分として1カ月を超える業務停止を弁護士法人が受けると、弁護士法人は受任中の事件を辞任する必要があります。そのため、アディーレに過払い金返還請求訴訟を依頼中であればアディーレでの手続きは「契約解除」となります。
アディーレから順次「契約解除」が送付されている
現在、アディーレからは順次「契約解除」に関する書面が送付されています。この書面を受け取った時点でアディーレとの契約は打ち切りとなり、自力で訴訟を続けるか、アディーレとは無関係の法律事務所に依頼するか、アディーレに所属する弁護士に個人として依頼するかの3つの方法が選べます。
契約解除後の3つの方法
契約解除後は自力で訴訟を続けるか、アディーレとは無関係の法律事務所に新たに依頼するか、アディーレに所属する弁護士に個人として依頼するかの3つの選択肢がありますが、法人であるアディーレとはそのまま契約を継続することはできません。
過払い金返還請求訴訟の大まかな流れ
基本的には弁護士・司法書士に依頼することが多い過払い金返還請求訴訟ですが、他の全ての法律手続きと同じように、個人でも手続きを進めることができます。大まかな流れを見てみましょう。
履歴の取得
まずは、どれだけの金額を借りて返済をしたのかを確認するために履歴を取得します。履歴の取得は借り入れをしたカードローン会社に対して直接おこない、カードローン会社は貸し付け・返済を記録した「業務帳簿」にもとづいて作成された書類を開示することがほとんどです。
引き直し計算
業務帳簿にもとづいた書類の時点では、最終的な過払い金がいくらになるかはわかりません。現行の金利の計算式にもとづいて利息の計算をする「引き直し計算」により、最終的な過払い金の金額を確定します。
請求・和解交渉
引き直し計算によって計算した過払い金にもとづいて、カードローン会社に対して請求・和解交渉をすすめます。1件1件に対応しているとカードローン会社側も業務がパンクするので、基本的に訴えの内容がそのまま通ることが多いようです。
決着・金額の振り込み
交渉が決着すると、カードローン会社から訴えた人の口座に対して振り込みがおこなわれます。これで一連の手続きは決着です。
おわりに
アディーレの業務停止により、一段落していた過払い金返還請求が再び注目を集めることとなりました。
そもそもないに越したことはありませんが、今回の件をきっかけに、過去の利用をもう一度見直しても良いかもしれませんね。