カードローンの借り入れを左右する「総量規制」を総復習

カードローンの借り入れを左右する「総量規制」を総復習

カードローンの借り入れを左右する「総量規制」を総復習

見直しが進む銀行カードローンには、耳慣れない言葉がいくつかありますが、その一つが「総量規制」です。この総量規制、実はカードローンの借入限度額を左右する重要な規制であることはあまり知られていません。
今回は、この総量規制とはどのような規制であり、カードローンの審査・借り入れにどう影響するのかを見てみましょう。

借入限度額を左右するカードローンの「総量規制」

借り入れできる金額を制限した「総量規制」

総量規制とは、「一度の契約で50万円を超える場合、または利用者の年収の3分の1を超える場合は融資してはならない」とした、貸金業法で定められた規制です。法律による規制なので、総量規制を超えてお金を貸すと、貸した側が一定期間営業停止などの罰則(行政処分)を受けることになります。
貸金業法は平成18年12月に成立、平成22年6月18日にすべての規定が施行されました。

「1社ごと」ではなく「全体の借り入れの合計」を見る総量規制

貸金業法で総量規制に関する条文を読んでみると、

3 貸金業者は、前項の場合において、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第一項の規定による調査を行うに際し、資金需要者である個人の顧客(以下この節において「個人顧客」という。)から源泉徴収票(所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百二十六条第一項に規定する源泉徴収票をいう。以下この項及び第十三条の三第三項において同じ。)その他の当該個人顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録として内閣府令で定めるものの提出又は提供を受けなければならない。ただし、貸金業者が既に当該個人顧客の源泉徴収票その他の当該個人顧客の収入又は収益その他の資力を明らかにする事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録として内閣府令で定めるものの提出又は提供を受けている場合は、この限りでない。
一 次に掲げる金額を合算した額(次号イにおいて「当該貸金業者合算額」という。)が五十万円を超える場合
イ 当該貸付けの契約(貸付けに係る契約に限る。ロにおいて同じ。)に係る貸付けの金額(極度方式基本契約にあつては、極度額(当該貸金業者が当該個人顧客に対し当該極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けの元本の残高の上限として極度額を下回る額を提示する場合にあつては、当該下回る額))
ロ 当該個人顧客と当該貸付けの契約以外の貸付けに係る契約を締結しているときは、その貸付けの残高(極度方式基本契約にあつては、極度額(当該貸金業者が当該個人顧客に対し当該極度方式基本契約に基づく極度方式貸付けの元本の残高の上限として極度額を下回る額を提示している場合にあつては、当該下回る額))の合計額
二 次に掲げる金額を合算した額(次条第二項において「個人顧客合算額」という。)が百万円を超える場合(前号に掲げる場合を除く。)
イ 当該貸金業者合算額
ロ 指定信用情報機関から提供を受けた信用情報により判明した当該個人顧客に対する当該貸金業者以外の貸金業者の貸付けの残高の合計額

引用:e-Gov法令検索 貸金業法
とあります。
このように総量規制は「1社ごとの借り入れ」だけではなく、「全体の借り入れ」にかかり、借入限度額として設定された金額が対象です。
実際にいくつかのカードローンでは、50万円を超える申し込みは収入証明書類の提出を求めることや、ほかのカードローンの利用がないことを申し込みの条件としていることがあります。

総量規制の対象外となる銀行カードローン

年収に対する借入金額を一定の割合に制限する総量規制は、近年急速に貸出残高が伸びている銀行カードローンは対象外です。銀行カードローンは貸金業法ではなく銀行法の下で提供されていて、銀行法には総量規制に該当する規制がないためです。
総量規制の対象外であることから、これまで銀行カードローンはまとまった金額が比較的借りやすいと言われていました。しかし、銀行カードローンの利用をめぐるトラブルが相次いで報じられたことから見直され、2017年11月末時点ではほとんどの銀行カードローンに総量規制に準じる自主規制が導入されています。

総量規制の対象とならないための3つのポイント

申し込み前に不要な契約は解約する

総量規制で誤解されがちなポイントは、年収の3分の1を上限とする規制は申し込み時点の「借入金額」ではなく、「借入限度額」を対象としていることです。そのため、契約したものの何年も借り入れをしていないカードローンの借入限度額も含まれます。
まとまった金額の借り入れを申し込むのであれば、申し込みの前に不要な契約を解約することが欠かせません。また、カードローン以外にもクレジットカードのキャッシングも総量規制の対象となるため、これも使っていないのであればあわせて解約しましょう。

借り入れはできるだけまとめる

いくつかのカードローン会社から借り入れをしていると、管理が面倒になるだけではなく、返済が進まないことから最終的な返済金額が大きくなったり、返済トラブルの原因になることは珍しくありません。
複数の借り入れをするときは3社程度にとどめて、限度額の増枠などで対応しましょう。借入先をまとめることで借り入れの管理がしやすくなり、総量規制の対象となることや、返済のトラブルを避けることが期待できます。

銀行カードローンを活用する

最近では総量規制に準じた自主規制の導入が進んでいますが、やはり総量規制の対象外である銀行カードローンは有力な選択肢の一つです。特に地方銀行を中心にカードローン以外のサービス利用に応じて利率の引き下げといった特典があることも珍しくないため、選択肢として外せません。

おわりに

このように比較的新しい規制である総量規制ですが、その目的や運用のされ方から、カードローンの申し込みのときに注意したいポイントの一つです。
まとまった借り入れを考えているときには、先に触れたような点に注意して、総量規制の対象とならないような借り入れをすることが、トラブルを避けるためにも欠かせません。

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