
インターネット通販「楽天」が、提供する格安SIMの「楽天モバイル」を見直してNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクに続く第4の携帯会社を目指していると報じられました。気になるのが、携帯料金の支払いがカードローンの利用に与える影響です。
一見関係ないように思えるこの2つには意外なつながりがあり、カードローンの利用に大きく影響することはあまり知られていません。
今回は、携帯料金の支払いとカードローンのあまり知られていない関係をおさらいしてみましょう。
「第4の携帯会社」になるために動き出した楽天モバイル
楽天が、2018年1月にも携帯電話向けに割り当てられる電波の取得を総務省に申請すると報じられました。申請が認可されれば、NTTドコモとKDDI(au)、ソフトバンクに続く「第4の携帯会社」となる見通しです。
これまで楽天は自前の通信回線を持たない「仮想移動体通信事業者(MVNO)」として、2014年(平成26年)から「楽天モバイル」を提供しています。MVNOは設備投資費を負担しない代わりに多額の接続料を支払うため、利益幅は限られていることから、自社で設備を保有する方針に転換したと見られます。
携帯料金の未払いでブラックリスト?「割賦販売」と異動情報の関係
手軽に最新機種が買えるのが「分割払い」のメリット
携帯電話・スマートフォンの高機能化にともなって本体代金も高騰し、10万円をこえる機種も珍しくありません。そのため、機種代金の支払いに分割払いを選ぶことは少なくなりません。
機種代金の分割払いは契約上「割賦販売」となり、クレジットカードでの分割購入と同じ扱いとなり、返済状況は信用情報として信用情報機関に登録されます。
仮に機種代金を含む携帯料金の未払いが遅延すると「クレジットカードの支払いが遅延した」のと同じ扱いとなり、「異動情報(事故情報)」に登録されるのです。
与信に悪影響がある「異動情報」
「異動情報」はいわゆる「ブラックリスト」として知られ、クレジットカードやカードローンなどの各種ローンの申し込み・借り入れをはじめ、「与信」が必要な取引を制限します。
与信とは、金融機関や消費者金融会社の融資枠や、クレジットカードの利用枠をいいます。申し込み時に重視される与信ですが、そのほかにも与信枠を設定したあとのモニタリングや見直しにも活用されます。そのため、返済トラブルを意味する異動情報があると、与信に悪影響があるのです。
携帯料金の未払いは急増している
信用情報機関のCICは信用情報の種類に応じて統計データを集計・公表していますが、割賦販売の統計データを見ると、異動情報の登録件数は一貫して増加傾向です。その原因はいくつか考えられますが、携帯電話の本体代金未払いによる登録が増えているという分析結果も出ています。
異動情報が記録されるとどうなるか?
カードローンや住宅ローンなどの各種ローン
異動情報が登録されると、収入の多寡にかかわらずカードローンなどのフリーローンはもちろん、住宅ローンやカーローンなどの目的別ローンも申し込み・借り入れができなくなります。
クレジットカード
もっとも身近な与信を活用する仕組みであるクレジットカードは、利用はもちろん新たなカードを発行することもできません。特にクレジットカードは公共料金の支払いにも利用できることから、その影響は小さくないといえるでしょう。
リース
自分で事業をはじめることを考えているならば、異動情報の有無はローンやクレジットカード以上に重要になります。創業当初は会社に信用がないので、経営者の与信が資金調達を左右するからです。銀行など金融機関との付き合いを考えると、異動情報があると信用を得るのは簡単ではないでしょう。
おわりに
高額になったとはいっても、携帯電話の本体代金は10万円を超えるくらいの金額であり、分割支払いを選べば毎月の支払いは数千円から1万円程度。小さい金額ではありませんが、多少のやりくりでねん出できる金額と言えます。
異動情報は一度登録されると、その状態が解消しても一定期間は保存されるので、その間は与信がかかわるさまざまな申し込み・借り入れに大きな悪影響を残します。
楽天モバイルがNTTドコモやau、ソフトバンクと並ぶ携帯電話会社を目指すことで、携帯料金に再び大きな見直しが期待できます。より負担の少ない携帯会社を見つけて乗り換えることで、携帯料金の支払いで思わぬトラブルを起こすリスクを減らしていきましょう。