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進む地方銀行の連携。「TSUBASA(翼)プロジェクト」とは

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岡山県に営業基盤を置く「中国銀行」と新潟県を地盤とする「第四銀行」は、個人向けローンの審査効率化に向けて、システムの共同開発をすることを発表しました。
審査過程を自動化することで短時間での融資を実現することを目指すこのシステムは、2018年10月以降の導入を目指していると伝えられていますが、その背景には何があるのでしょうか。
今回は、新システムと開発に至った背景、CLへの影響がどのようなものかを見てみましょう。

申し込み・審査の迅速化を目指す新システム

共同開発が決まった新システムは、システム開発のITFOR(アイティフォー)が金融機関向けに提供する、2種類のシステムをベースに開発すると伝えられています。
2018年2月時点で、中国銀行はカードローン「コ・レ・カ」をはじめとするさまざまな個人向け融資を提供していますが、このうちカードローンのみがインターネットでの申し込みに対応していて、住宅ローンや自動車ローンなど、個人向けの目的別ローンは窓口で申し込みをする必要があります。
新システムではパソコンやスマートフォンから申し込めるようにするとともに、信用情報機関への照会や過去の利用履歴の確認を自動化することで審査の自動化を進め、より手軽に利用できるようにすることを目指しています。

新システムは当面2行だけで運用の予定

中国銀行と第四銀行は、金融とIT(情報技術)を融合した「フィンテック」で連携する地方銀行6行で構成される「TSUBASA(翼)プロジェクト」に加盟しています。しかし現時点では、新システムは中国銀行と第四銀行だけで運用する予定と伝えられています。

2行が参加する「TSUBASA(翼)プロジェクト」

サービスの充実とITコストの抑制を目指す「TSUBASA(翼)プロジェクト」

中国銀行と第四銀行が参加する「TSUBASA(翼)プロジェクト」とは、顧客サービスや商品の充実、ITコストの抑制とIT要員の相互補完等を目的に、千葉銀行、第四銀行、中国銀行、伊予銀行と北國銀行の5行が、2008年(平成20年)にシステム共同化の検討で基本合意したことをきっかけとするプロジェクトです。
その後、趣旨に賛同した2012年(平成24年)に東邦銀行、2015年(平成27年)に北洋銀行(注)がプロジェクトに参加しました。
TSUBASA(翼)プロジェクトでは、サブシステムと共に、将来の基幹系システムのあり方について共同で調査・研究を進め、2012年(平成24年)から基幹系システムの共同化を目指して、千葉銀行、第四銀行、中国銀行の3行と日本IBMの共同で「TSUBASA(翼)プロジェクト基幹系共同システム」の開発に取り組んでいました。
このシステムは千葉銀行の従来システムをもとに、共同システムの必要要件と参加各行の共通要件、参加各行の固有要件を取り込んだ機能を開発し、2017年(平成29年)に千葉銀行に導入されたことを皮切りに、参加各行での導入が進んでいます。

基幹系システム共同化の狙い

基幹系システムの共同化は、「長期安定稼働を可能とするシステムの構築」、「ITコストの抑制・IT要員の相互補完」、「商品開発やサービス提供のスピードアップ」の実現を目標としています。

サブシステムも共同化を進める

基幹系システムと同時にサブシステムの共同化も進んでいて、千葉銀行と第四銀行は共同コールセンターシステム、千葉銀行、第四銀行、中国銀行、伊予銀行の4行は共同顧客情報管理システム(CRM)のシステム基盤を導入しています。これにより基幹系システムと同じように安定したシステムの構築やITコスト抑制と要員の相互補完、商品開発・サービス提供のスピードアップを目指しています。

IT技術の活用について研究を進める「TSUBASA金融システム高度化アライアンス」

また、システムの共通化とは別にTSUBASA(翼)プロジェクトに参加している6行のうち、千葉銀行と第四銀行、中国銀行は金融分野におけるIT技術の活用(フィンテック)を調査・研究する「TSUBASA金融システム高度化アライアンス」を立ち上げ、日本IBMと共同で調査・研究を進めています。

おわりに

地方銀行と第二地方銀行をあわせて106行がある地方銀行は、地方経済の収縮により収益が悪化し、地域を超えた協業や合併がさかんになりつつあります。
TSUBASAプロジェクトもその一環として進められているものであり、今回の中国銀行と第四銀行の個人向け融資の新システム開発は、この協業があったからこそと言えます。

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