
2002年(平成14年)に消費者金融カードローンの貸付残高を上回ってから、急速に貸付残高を伸ばした銀行カードローンですが、2017年(平成29年)ごろから審査・融資の見直しが大きく報じられるなど、注目を集めています。
13年ぶりに増加に転じた自己破産の原因とも言われている銀行カードローンの審査・融資の見直しですが、どのような見直しが進められているのでしょうか。
今回は、転換期を迎えつつある銀行カードローンの特徴と、トラブルのない利用のために注意したいポイントを見てみましょう。
借入条件が有利な銀行カードローンの特徴
消費者金融・信販カードローンと比べて低金利
銀行カードローンの最大の魅力といえるのが、消費者金融・信販カードローンと比べたときに低金利で借り入れできることです。
消費者金融・信販カードローンの平均的な利率は下限が10%台、上限が18%であるのに対して、銀行カードローンは下限が数%台、上限が10%台前半と、低い金利設定が魅力です。
金利が低いと発生する利息は小さくなるため、最終的な返済金額を低く抑えることができます。毎月の返済負担を考えると、見逃せないポイントといえるでしょう。
契約極度額が大きく、まとまった借り入れに向く
また、契約極度額も消費者金融・信販カードローンと比べると大きいため、まとまった借り入れに向いているのも魅力の1つ。
消費者金融・信販カードローンの契約極度額は500万円程度を上限としていることがほとんどなのに対して、銀行カードローンの契約極度額はインターネット専業銀行を中心に1,000万円を超えることも珍しくないため、まとまった借り入れに向いています。
豊富な提携金融機関・ATMにより利用しやすい
ほとんどの銀行が独自のカードローンサービスを提供していますが、借り入れ・返済には自行ATMはもちろん、提携金融機関ATMでの利用にも対応しているので、必要なときにいつでも・どこでも利用できるのも銀行カードローンの魅力です。
銀行カードローンのデメリット
返済能力を超えて借りてしまうリスクが大きい
低い金利負担と大きな借入極度額からまとまった借り入れに向いている銀行カードローンですが、そのメリットと引き替えに返済能力を超えた借り入れをしてしまうリスクがあります。
カードローンの借り入れは審査によって決定された限度額に左右されますが、銀行カードローンの限度額には消費者金融・信販カードローンの「総量規制」のような法的な規制がないため、年収の一定割合を超えた限度額を設定できるため、返済能力を超えた借り入れをするリスクは無視できません。
銀行の提供する他のローンと比べて金利が高い
消費者金融・信販カードローンと比べると低金利で金利負担が小さいのが魅力といえる銀行カードローンですが、銀行の提供する他のローンと比べると、あまり有利とはいえません。
特にカーローンや住宅ローンなどの「目的別ローン」と比べると金利面で劣るため、利用目的が決まっていれば優先して目的別ローンに申し込むほうがより有利な借り入れができることは珍しくありません。
他のローン審査に影響が出る可能性がある
銀行カードローンは融資のときに「総量規制」のような法的な強制力のある規制がなく、まとまった金額の借り入れに向いていますが、銀行でカードローン以外のローンの借り入れを検討していれば、そのローン審査に影響が出る可能性があります。
銀行カードローンの審査は消費者金融・信販カードローンと比べても審査が厳格と言われているため、カードローンを利用している状態で別のローン商品に申し込むと、そのローンの審査に影響することが考えられます。
審査に通過するためのポイント
同時に他のカードローンに申し込まない
カードローンの審査・申し込みの状況は信用情報の一環として指定信用情報機関が収集しています。審査に落ちたときの保険として、複数のカードローンに同時に申し込む人がいますが、同時申し込みは審査に悪影響を与えるのでNGです。
年収の一定割合を超える借り入れで申し込みをしない
消費者金融・信販カードローンの「総量規制」のような法的規制のない銀行カードローンですが、総量規制に準じた自主規制の導入を進めるなど、徐々に審査の厳格化が進められています。
確実な借り入れが必要なときには、銀行カードローンも総量規制に準じた自主規制を導入していることを念頭に、年収の一定額を上回らない内容で申し込みをするのが効果的です。
すでに他のカードローンで借入金額が年収の一定額を超えているのであれば、すでに借り入れのあるカードローンの限度額の引き上げや返済を進めるなど、他の方法を検討しましょう。
銀行カードローンの借り入れを左右する?「保証会社」
銀行カードローンの審査を担当するのは「保証会社」
銀行は企業向け融資を中心に、有担保ローンが得意な金融機関であり、個人向けの無担保ローンであるカードローンは審査ノウハウの積み上げがありませんでした。
そこで銀行カードローンでは、実際の審査を銀行そのものではなく「保証会社」が担当しています。保証会社は審査業務を専門としている会社が担当している場合もありますが、ほとんどはカードローンを提供する銀行のグループに参加している消費者金融が担当しています。
審査落ちの時は保証会社も要確認
保証会社は複数の銀行から業務を受けていることも珍しくないため、特に地方銀行では別の銀行でも同じ保証会社であることもあります。
消費者金融は指定信用情報機関に提出する信用情報とは別に、会社内部で独自に信用情報を保管していることがあります。独自に信用情報を保管している場合、過去の借り入れ状況が思わぬ影響を与えることもあるので、返済トラブルなどの心当たりがないのに審査落ちをするようなときには、保証会社を確認してみましょう。
おわりに
まとまった借り入れに向いているといわれていた銀行カードローンですが、自主規制の導入が進んでいることをはじめ、これまでのように自由度の高い借り入れは難しくなっています。
しかし、消費者金融・信販カードローンと比べたときの返済負担の小ささをはじめ、カードローンとして見ると魅力的な借り入れ条件であるため、今後も有力な選択肢の1つといえるでしょう。