覚えておくべき農業の融資制度と借り入れ

覚えておくべき農業の融資制度と借り入れ

農業に限らずあらゆる職業では資金繰りに行き詰まるとその時点で事業として失敗となるシビアな側面を抱えています。
特に自然を相手にする農業では天候や自然災害などの不確定要素が多く、より資金繰りの重要性が高いと言えます。
そこで今回は、農業に関わる様々な融資制度と借り入れについて、その特徴を大まかに見てみましょう。

主な融資申込先

農業にもっとも密接な融資申込先として知られているのが、農業協同組合(農協・JA)・信用農業協同組合連合会(信連)・農林中央金庫(農林中金)による信用事業であるJAバンクです。
銀行の預金に相当するJA貯金を中心として資産運用や各種ローンの取り扱いをおこなっているJAバンクは、農家向けに運転資金や担い手支援などの農家向けの事業者融資が充実しているのが特徴です。

JAバンクと並んで農業向けの融資制度を充実させているのが、政府系金融機関とも言われる政策金融機関です。
経済発展や国民生活の安定といった政策実現のために設定される金融機関である政策金融機関は、民間の銀行では融資が困難な分野に対して投資をおこなっています。
政策金融機関の中でも農業関連の融資メニューが充実しているのが日本政策金融公庫であり、農業に限らず林業や漁業など、農林水産業全般に関する豊富な融資制度が設定されているのが特徴です。

この他にも、農業法人であればキチンとした事業計画が提出できれば民間の銀行でも融資を受けることが期待できますが、独立就農であればJAバンクと政策金融機関が融資申し込みの有力な検討対象と言えるでしょう。

融資制度に共通する制度上の特徴

JAバンクと日本政策金融公庫の融資制度の概要について見る前に、両者にはどのような共通点があるのかを見てみましょう。

これらの融資制度に共通するポイントして、就農者の認定制度によって借り入れ条件が変わることがあげられます。
近年の少子高齢社会では就農者や新規就農希望者の数は激減し、食料の安定供給のために就農者数の確保が緊急の課題となっています。
そこで農業行政を担当する農林水産省は、農業に対してより積極的な就農者に対して重点的に支援措置を講じる「認定農業者制度」をはじめとする認定制度を設定することで就農者に対しる一定のインセンティブを設定しています。
のインセンティブの一環として、各種融資制度の借り入れ・返済条件で認定者は非認定者に比べると有利な条件が設けられている点が大きな特徴となります。

また、返済期限が短期でも10年以上、長期のものでは20年から30年と事業融資の中でも比較的長期間に渡る内容の設定がされているのも特徴です。
特に投資から回収までの期間が長い林業ではこの傾向は顕著であり、最短で30年、最長で55年と、長いスパンでも投資・回収が考えられています。

JAバンクと日本政策金融公庫の設定する主な融資制度

それではここで、主な融資制度の名称と対象となる資金使途、融資制度の特徴について見てみましょう。

JAバンク

  • 農業近代化資金…農業の「担い手」の経営改善のための長期で低利な制度資金。施設の取得・拡張、設備・機具購入、長期運転資金など幅広い資金調達をサポート。「認定農業者」の方には、さらに金利優遇などの特例
  • 農業経営改善促進資金(新スーパーS資金)…「認定農業者」の方の農業経営に必要な運転資金を低利で提供する短期の制度資金。設定した借入枠の範囲内での複数回の借り入れと返済に対応
  • アグリマイティー資金…農地・設備の取得・拡張、設備・機具購入から短期の運転資金まで、農業に関するあらゆる資金ニーズに対応できるJAバンク独自の資金。制度資金よりも迅速な対応

日本政策金融公庫

  • 農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)…農地、機械、施設、長期運転資金
  • 経営体育成強化資金…新作物分野・流通加工分野・新技術にチャレンジする場合に必要な資金
  • 農業改良資金…就農するにあたっての機械・施設・長期運転資金

このように、農業に限ってもその目的や用途、融資主体によって様々な融資制度が設定されているので、融資の申し込みは十分な比較・検討が必要と言えるでしょう。

おわりに

お金とは縁遠いイメージが拭えない農業ですが、天候や自然災害を相手にする分だけ他の職業に比べるとリスクが高く、資金面でもシビアな判断が必要とされる局面は多くあります。
融資申し込みを考えるのであれば、条件面の比較・検討は十分におこなってから申し込み・借り入れをおこなうようにしましょう。

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