「兼業農家」という言葉をご存知でしょうか。
農業以外にも収入になる職業をしている人のことで、日本の農家のなかでは一番割合の高いスタイルになっています。
ではいったいどのようにして2つの職業を掛け持っているのでしょうか。
今回は兼業農家の生活スタイルについて紹介します。
兼業農家とは
「兼業農家」は農業以外にも何か別の仕事をしていて、休日などに農業を行っている、あるいは世帯のうちに1人でも農業以外の仕事に従事している人のことを指します。
反対に農業だけで生計を立てている人は「専業農家」と呼ばれます。
現在は専業農家よりも兼業農家の方が圧倒的に世帯数が多くなっています。
兼業農家の生活スタイル
では、兼業農家の人たちはどういった生活を送っているのでしょうか。
普段は会社に勤めているサラリーマンで、休日などに農地の手入れなどをして農業に勤しんでいるというスタイルがよくみられます。
一見すると会社に勤めている分の収入と、農業で稼いだ分の収入がはいることになるのでとても良い働きかたのように感じますが、平日は会社勤め、休日はひたすら農業のため、丸一日休みになる日が少なくなります。
農地は生き物なので疎かにできません。長期間のレジャーや旅行も難しくなると思います。
別々の仕事をこなしていることになるので、やはり兼業農家は非常に大変な生活を送っています。
兼業農家が増えたワケ
兼業農家は時代とともに段々増えていきました。
大きな理由としては、「農具が発達したことで短時間で行うことができ、人手も少なくて済むようになった」、「専業も兼業も同じ農家として扱われるため、兼業農家でも様々な制度が利用できるようになった」、「経済が発展し、農村の近くに農場や会社が増えた」などが挙げられます。
兼業農家が主流になる前は世帯のうちで父親が出稼ぎに行き、残った家族で農地を運営していく「三ちゃん農業」が多かったのですが、農村の近くに都市ができたことで、出稼ぎではなく会社勤めを選ぶ兼業農家が増えました。
農業だけでなく会社からの収入もあるため、不作の年でも安定した生活を送れる兼業農家を選ぶ人が増加したのは納得できます。
専業と兼業、どちらがいいのか
ここで兼業と専業のどちらがいいのでしょうか。
専業農家は農業に専念できるため、都会や都市部とは隔絶された生活を送ることができます。
一方で、収入源となる農作物が不作になってしまうと収入が低くなってしまうため、不安定な面もあります。
兼業農家は農作物の収入と、会社に勤めて働いた分などの収入があるため、たとえ農作物が不作であっても生活は安定します。
しかし、平日は会社勤め、休日は農業と忙しい生活を送ることになります。
どちらも一長一短がありますが、制度や政策の面では有利になっていると言われています。
現在は兼業農家が大半のため、農協などの制度も兼業農家に合わせたものである傾向が強くなっています。
特に米農家にはその傾向が顕著にみられ、酪農などと比較すると米農家の専業率の低下は著しく、他の分野では専業率が8割程度なのに対して、米農家の専業率は4割を切っているとも言われています。
米はあまり手のかからない作物なので兼業農家が増えたとも言われていますが、農協や政府が行っている政策や制度が兼業農家に向けたものばかりであることも原因になっているので、改善を求める声が多数あります。
おわりに
今回は兼業農家の生活スタイルについて紹介しました。
例としてサラリーマンなどの会社勤めの人を想定しましたが、様々な兼業のかたちがあります。
二足のわらじを履くのは大変ですが、サポートなどは充実しています。
農業に興味のある人は一度調べてみてはいかがでしょうか。