学校の授業などで「減反政策」という言葉を聞いたことがあると思います。
昔の政策に思われがちですが現在も施行されている制度で、最近では様々な動きがありました。
今回は日本の減反政策について紹介します。
減反政策とは
減反政策は簡単に言えば「生産調整」です。
昔から日本は米文化が非常に根強く、国内の米の消費量はかなりのものでした。
しかし、戦後になってから外国の食文化が流入してくるにつれて日本人の食生活にも変化があらわれ、段々と国内の米の消費量が減少しはじめました。
日本政府は以前から農家を支援する政策のひとつで農家から米を買い上げる「食糧管理制度」が行われていましたが、消費量が減少するにしたがって買い上げた米があまるようになり、国側の負担が大きくなっていきました。
そこで政府はこれ以上負担を大きくしないために農家に奨励金を出して、米ではなく別の野菜などの農作物を育てるように転作を要請する政策を打ち出しました。
この政策を減反政策といいます。
食糧管理制度
食糧管理制度は国内に食糧を安定して供給するために、数種類の食品を政府が間接的あるいは直接的に生産や流通などを管理する制度です。
1942年に施行された食糧管理法によって確立しました。
確立してからしばらくの間は絶大な効果を発揮して日本の食糧不足を改善に導きましたが、米を政府を通さずに流通させることのできる「自主流通米制度」や「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(通称食糧法)」の確立や、政府主導の生産コントロールの困難さに直面し、1995年に廃止されました。
減反政策の現在
現在、減反政策に注目が集まっています。
政府が「減反政策の廃止」を発表したためです。
減反政策に協力してくれるのはブランド米などの流通によって大きな影響を受ける小規模な農家が多く、国内の食糧生産に関わっている小規模農家たちをサポートしていくためにも減反政策は続けられていました。
しかし、政府は2020年を目処にして、減反政策の廃止を発表しました。
大きなきっかけになったのは「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)」です。
「TPP」が本格的に適用されるようになると日本の農家にとってはかつてないほどの試練になると言われています。それは「関税が撤廃されるので、海外から安価な農作物、特に米が大量に国内に流入してくる」からです。
一部の競争力のあるブランド米を除く米農家は、かなり厳しい状況に追い込まれると予想されています。
そういった予想を受けて政府は、小規模農家にも大量に米を生産してもらい、外国に負けないような競争力をつけてもらうために減反政策の廃止を発表しました。
しかし、減反政策が廃止されたからといって競争力がつけられるわけではなく、小規模農家の今後を心配する声も多くみられます。
TPPの影響
TPPは前述のとおり、農家にとってはかなり厄介な協定となっています。
一方で、輸出面でも大きな恩恵を得られるため、輸出に強い日本経済にとってはありがたい協定とする人もいます。
協定の内部で関税が無くなるため、日本製品が多く輸出され、多額の経済効果が期待できるとされているからです。
TPPは「関税の撤廃」が輸出と輸入にかなりの影響を与えるものと考えられていて、日本政府が国内の小規模な農家を守るための政策や制度をしっかりと制定しないと、一部のブランド米をもっている農家だけが残り、小規模農家は農業を辞めてしまうといった状況になってしまうかもしれません。
おわりに
今回は日本の減反政策について紹介しました。
減反政策は2020年に廃止が決定していますが、これによって果たしてどれくらいの競争力がつくことになるかは判然としません。
今後の政府の動向に注目しましょう。