
2013年5月に成立した「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(通称:マイナンバー法)」に基づくマイナンバーの通知・発送が2015年10月から開始され、各家庭・各個人に向けて順次「通知カード」が発送されています。
新聞から会員制交流サイト(SNS)まで、様々なメディアで議論の対象となっているこの仕組みですが、実際にはどのようなものなのでしょうか。
今回はマイナンバーの概要と、カードローンの借り入れ・返済への影響を見ていきたいと思います。
マイナンバーとは何か?
ニュースなどで話題にはなるものの、その仕組みをキチンと知らない「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号」、つまりマイナンバーとは、具体的にどのようなものでしょうか。
そもそも、マイナンバーとは、
住民票を有する全ての日本国民一人につき一つの重複しない番号を発行することで、社会保障・税金徴収・災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の期間に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される
マイナンバー社会保障・税番号制度より引用
を目的として市町村から発行され、国や行政機関などで一元的に利用される番号のことを指します。
国や地方自治体では、マイナンバーを導入することにより、
- 各種行政サービスの効率化
- 国民の利便性の向上
- 公平・公正な社会の実現
を達成することをうたっています。
マイナンバーを導入することで、国や地方自治体、さらに各種機関で発行・管理されていた個人情報を、特定の番号で照会できるようにすることで、非効率な部分が多かった行政サービスの効率化を図ろうという仕組みが、マイナンバーの本来の趣旨です。
マイナンバーの導入とカードローンへの影響
マイナンバーの導入により、カードローンの申し込み・借り入れにどのような影響があるのでしょうか。
2016年の導入当初では、マイナンバーの適用範囲は「社会保障」「税金」「災害対策」の3分野に限られています。
一部で言われているように、マイナンバーの導入がすぐにジョージ・オーウェルの小説「1984(ビッグ・ブラザーと呼ばれる独裁者による管理社会を描写した傑作小説)」のような管理社会につながるというのは全くのデマと言えます。
ですがマイナンバー法には、施行から3年をめどに、より広い範囲でマイナンバーを活用することを検討・実施することが明記されています。
そのため、法律施行から3年がたつ2018年ごろから適用範囲の拡大に向けた様々な動きが活発化することが予想されます。
現時点では、
- 2016年4月の消費税増税と同時に導入される還付制度に、マイナンバーを利用
- 2016年以降に発行されるマイナンバーカードに、運転免許証や保険証などの身分証明証としての機能、キャッシュカード・クレジットカード機能の追加
- マイナンバーと医療サービスと結びつけることで、検査の重複などを防いで医療費を抑制
- 預金口座と結びつけることで、確定申告時以外にも税務署の税務調査を容易にする
などが2018年以降に導入するかどうかが検討・議論されている利用方法としてあげられています。
2015年時点では、これらの活用方法の中に、与信審査の結果を含めるかが検討されているかは明らかではありません。
しかし、行政・民間を問わず、個人情報をできるだけマイナンバーに組み込む動きを見ると、将来的に保証会社による与信審査の結果もマイナンバーにひも付けされてもおかしくないでしょう。
マイナンバー導入による申し込み・借り入れへの影響を小さくするためには?
マイナンバーの導入がすぐにカードローンの申し込み・借り入れに影響を及ぼすことはなさそうですが、将来的にはどのような影響がもたらされるかについては何とも言えません。
では、与信審査の結果がマイナンバーで照会できるようになると仮定した場合、どのように対応をすればよいのでしょうか。
現時点では、特に何もする必要はありません。
現時点でのマイナンバーの仕組みは、あくまでも行政機関・民間事業者に分散している個人情報を照会しやすくするために発行される重複しない番号に過ぎません。
つまり、現行の制度のまま、与信審査の結果がマイナンバーで照会できるようになっても、与信審査の結果に何かしらの影響があるわけではありません。
マイナンバー導入の影響を心配するよりも、早期返済をすることで借り入れているカードローンの残高を解消するほうが、よほど与信審査に対して好影響を与えます。
おわりに
ここまでマイナンバーの仕組みと、カードローン審査への影響についてみてきました。
現在の仕組みのままであれば、マイナンバーの影響がカードローンに及ぶことを心配するのは徒労であると言えますが、数年後の見直し時期の動向は不明瞭です。
現時点でできることは、残債を早期に返済することで、与信審査の結果を改善しておくことが何よりの対策と言えるでしょう。