民営化への節目。郵政3社株式上場とカードローン利用への影響

民営化への節目。郵政3社株式上場とカードローン利用への影響

民営化への節目。郵政3社株式上場とカードローン利用への影響

「日本電信電話以来28年ぶりの大型上場」「最後の民営化案件」と呼ばれ、国内の株式上場では久しぶりに話題性の高い郵政3社の株式上場が行われました。
上場してから最初につく値段である初値では、上場した3社全てが売り出し価格を上回り、ひとまず上々の滑り出しでした。先行きには何があるのでしょうか。
今回は郵政3社上場に関わる様々なトピックと、カードローン審査・借り入れへ与える影響を見てみましょう。

郵政3社上場への略史

今回の郵政3社上場へは、20年近い時間がかかって成し遂げられた最近では珍しい、大規模な行政改革の一環です。
カードローンへの影響を見る前に、郵政民営化と上場までの歴史を振り返ってみましょう。
1996年 … 第1次橋本内閣の「行政改革会議」で中央省庁再編が議論され、その中で郵政民営化が浮上。当初は郵便のみ国営を維持、郵便貯金(ゆうちょ)と簡易保険(かんぽ)は民営化もしくは民営化を準備という内容。最終的には国家公務員による公社として運営することが決定
1999年 … 超党派の議員連盟「郵政民営化研究会」が発足。会長は小泉純一郎衆議院議員、事務局長は松沢成文参議院議員
2001年 … 中央省庁再編により郵政省が廃止・解体。郵便・ゆうちょ・かんぽの3部門は郵政事業庁へ分割し、残る情報通信部門は同年の中央省庁再編により誕生した自治省・総務庁へと統合
2001年 … 小泉純一郎衆議院議員が自民党総裁選に勝利。第87代内閣総理大臣に就任
2003年 … 郵政事業庁が改編し特殊法人である「日本郵政公社」になる
2005年 … 小泉内閣により郵政民営化関連法案が提出され、衆議院本会議において5票差で可決されたものの参議院本会議では否決。これを受けて小泉総理は衆議院を解散・総選挙を実施(いわゆる「郵政解散」)。この総選挙の結果を受けて小泉総理は総選挙後の特別国会で再び郵政民営化関連法案を提出し、同法案が可決・成立する
2007年 … 民主党が郵政民営化凍結法案を提出。衆議院で否決・廃案
2007年 … 日本郵政公社から改編して「日本郵政グループ」が発足。グループ発足時の規模は総資産338兆円、従業員数24万人
2009年 … 政権交代を果たした民主党政権により郵政民営化の見直しが掲げられ、同年に郵政株売却凍結法案が可決・成立
2010年 … 郵政改革関連3法案が閣議決定され参議院に提出
2012年 … 郵政改革関連3法案の改正案が可決・成立
2015年 … 郵政3社の株式上場

郵政3社上場による行政・財政へのメリットとデメリット

郵政民営化による行政・財政上のメリットとデメリットは、どのようなものがあると考えられているのでしょうか。

メリットは経済活性化の期待

メリットとして言われているものの中でも最も大きなものは、総額約340兆円の巨大な資産を国ではなく民間が活用することで、バブル崩壊後20年以上に渡って停滞している経済活性化が期待されていることです。
また、株式上場後の政府保有分の株式売却益や、民営化後に納付義務が発生する各種税収入によって、国債発行額が税収入を上回っている状態が続いている財政の健全化も期待されています。
更に、郵便や保険といった生活に密接に関わるサービスを民営化することで同業他社との市場競争の効果が働き、サービス内容の充実と料金の低減が期待できます。

デメリットは民間企業による市場独占の恐れ

デメリットとしては、総資産約340兆円、従業員数24万人という国内最大規模の民間企業による市場独占の危険などがあげられます。実際に郵便事業は公社化から8年たった現在でも、日本郵便の独占事業であるため、サービス内容が競合する宅配便業界から強い反発を受けています。
また、サービスの地域間格差や不採算事業からの撤退など、公共サービスとしての機能低下も懸念されています。

郵政3社上場がカードローン審査・借り入れに与える影響

このようなメリットとデメリットが言われている郵政民営化ですが、カードローンにどのような影響があると考えられるでしょうか。
郵政民営化がカードローン業界に直接与える影響としては、ゆうちょ銀行本体がカードローン業務に参入してくることが考えられます。
既にゆうちょ銀行はスルガ銀行と提携してカードローンサービスを提供していますが、さらなる収益の向上を狙って独自のカードローンを開発・販売する可能性が考えられます。
仮にカードローン業務に参入する場合、その資金力と郵便局のネットワーク、何よりも安心感を活用して一気に業界首位となってもおかしくはありません。
ゆうちょ銀行ほど大きなライバルが参入してくるとなると、既存のカードローンサービスも生き残りを掛けて、融資枠の拡大などの利用者側に有利となるサービス改定も期待できます。

おわりに

20年近くに渡って進められている郵政民営化も、今回の郵政3社の同時上場で一区切りがつきましたが、新規サービスをはじめとしてその実力は未知数であり、カードローン業界も無関係とは言えません。
ぜひとも今後の動向に注意したいところです。

民営化への節目。郵政3社株式上場とカードローン利用への影響
最新情報をチェックしよう!