知っておきたい。「法的整理」のときの四つの手段

知っておきたい。「法的整理」のときの四つの手段

知っておきたい。「法的整理」のときの四つの手段

返済トラブルにおちいったときの最後の手段として覚えておきたいのが、法的な手続きである「債務整理」です。
しかし、いざ申し立てをするときにその方法があるのかを知らないと、後々大きな問題になりかねません。今回は、主な債務整理の方法を見てみましょう。

「債務整理」の大まかな内容と申立先を紹介

法に定められている債務整理の方法としては、「任意整理」、「特定調停」、「民事再生(個人再生)」と「自己破産」の4つがあります。
それぞれの方法について大まかに見てみましょう。

話し合いによって債務の圧縮を目指す「任意整理」

もっとも一般的な債務整理の方法として知られている「任意整理」では、利息の再計算(引き直し計算)や支払い方法の変更を債権者と話し合いをおこなうことで債務の圧縮を目指します。
任意整理の申立先は司法書士法人や弁護士事務所であり、申し立てを受けた司法書士法人や弁護士事務所が債務者本人の代理人として実務の一切を担当します。

返済条件の見直しを進める「特定調停」

債務者が調停委員に対して申し立てをおこない、調停委員が債務者と債権者の間に立って借金の減額や将来の分割払いの条件の見直しをおこなう債務整理が「特定調停」です。
2000(平成12)年の施行後から破産せずに返済の負担を軽減できる制度として広く利用された特定調停ですが、現在ではその手続きの煩雑さから申立件数は減少しつつあります。
特定調停は他の債務整理と異なり、債務者本人が簡易裁判所に対して申し立てをおこない、簡易裁判所が返済計画の立案や交渉などに立ち会い、合意を目指す点が異なります。

返済金額を大幅減額する「民事再生(個人再生)」

住宅等の財産を維持したまま大幅に減額された借金を原則3年間で分割返済する債務整理が「民事再生(個人再生)」です。
申し立ては任意整理と同様に司法書士法人もしくは法律事務所に対しておこないますが、任意整理よりも法的・金銭的な負担が大きく、法律事務所に対して申し立てをおこなうのが一般的と言われています。

返済不能として全額免除となる「自己破産」

裁判所に対して支払不能(破産状態)であることを申し立てて免責を受けることで、全ての債務を免除する債務整理の方法が「自己破産」です。
自己破産を申し立てると一定以上の資産は全て没収され、就業規制をはじめとするさまざまな制限が課されます。。
自己破産の申し立ても債務整理と同様に、司法書士法人や法律事務所に対しておこないますが、法的にさまざまな手続きが必要となるので、法律事務所に対して申し立てをおこなうのは一般的と言われています。

「債務整理」に関する相談をできる法律相談機関を紹介!

このように基本的に司法書士法人もしくは法律事務所に対して申し立てをおこなう債務整理ですが、司法書士法人や法律事務所以外に債務整理に関する相談を受けつけている機関は存在するのでしょうか。
司法書士法人と法律事務所と合わせて、債務整理に関する相談を受けつけている主な機関について見てみましょう。

司法書士(法人)・法律事務所(弁護士事務所)

司法書士法人と法律事務所(弁護士事務所)とは、その名の通り司法書士もしくは弁護士が代表を努め、さまざまな法的処理をおこなうための法人もしくは事務所です。
では、司法書士や弁護士とは、具体的にどのような業務を担当しているのでしょうか。
「司法書士」は司法書士法に基づく国家資格であり、法律知識に基づいて登記および供託の代理や、裁判所や検察庁、法務局に提出する書類を作成・提出する専門職です。
司法書士の中でも特に法務大臣から認定を受けた「認定司法書士」は、簡易裁判所における民事訴訟、民事執行、民事保全、和解、調停などの各種業務において当事者の代理をすることもできますが、その業務範囲は限られた範囲にとどまります。
業務内容が登記および供託の代理や官公庁に提出する書類の作成・提出に限られる司法書士に対して、「弁護士」は一般に依頼を受けて法律事務を処理することを職務とする弁護士法に認められた国家資格に基づく専門職です。
弁護士は各種書類の作成・提出はもちろん、民事・刑事事件の弁護などの法律事務および法務全般をおこなうことができます。
先にも触れたように、特定調停を除く債務整理では、申し立てを受けた司法書士法人や法律事務所は、債務者に代わって債務整理の実務をおこないます。

日本司法支援センター(法テラス)

日本司法支援センター(法テラス)とは、総合法律支援法に基づいて、全国どこでも法による紛争の解決に必要な情報や、サービスの提供が受けられる社会の実現を目指して設立された法務省所管の法人で、国民向けの法的支援サービスを提供する公的機関であり、民事・刑事事件を問わない情報提供を主な業務としておこなっています。
債務整理は司法書士法人や法律事務所に対して申し立てをおこなうのが一般的ですが、費用面での負担が大きく、法テラスでは必要な費用を資金援助する「民事法律扶助」という制度により、資金面での負担を軽減しています。
法テラス自体は法的トラブルに関する法情報やその他の法制度の案内を担当する組織であり、債務整理の実務に関しては担当しないことに注意が必要です。

法律相談センター

個人が経営している司法書士法人や法律事務所、国が設置した法人である法テラスとは別に、弁護士の組合である各地の弁護士会が設置している法律相談所でも債務整理の相談を受け付けています。
法律相談センターの特徴としては、司法書士法人や法律事務所に相談するよりも安価で明朗な料金設定がされているため、費用面での負担が比較的小さいことがあげられます。

おわりに

司法書士法人もしくは法律事務所に対して申し立てをおこなうのが一般的な債務整理ですが、ここまで見てきたように司法書士法人や法律事務所以外にも申し立てをおこなう手段はいくつかあり、費用面での負担を軽くする方法も用意されています。
めったにおこなわない債務整理だからこそ、さまざまな方法や支援策が用意されていることは頭の片隅に置いておきたいものです。

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