
世界の注目を集めたイギリスのEU離脱をめぐる国民投票が2016年6月23日におこなわれ、離脱支持が約1,653万票(約52%)に対して残留支持が約1,546万票(約48%)と、わずか約107万票差でイギリスのEU離脱が国民の総意として選ばれました。
これまで拡大の一途を辿ってきたEUからのはじめて加盟国の脱退、しかもEUでも主要な地位を占める国の離脱は、どのような影響を与えるのでしょうか。
今回は、今後の日本経済にも大きな影響があると言われている、イギリスのEU離脱の概要とその影響、カードローンへの影響について見てみましょう。
イギリスのEU離脱をめぐる国民投票と投開票と開票の流れ
イギリスのEU離脱による影響を見てみる前に、イギリスのEU離脱をめぐる国民投票とは何か、また投開票がおこなわれた2016年6月23日の流れを振りかえってみましょう。
イギリスのEU離脱とはなにか
「イギリス(Britain)」と「離脱(Exit)」を組み合わせた造語の「ブレグジット(Brexit)」として知られるイギリスのEU離脱は、欧州連合(EU)の有力な構成国であるイギリスがEU離脱の意志を示したことからはじめる一連の騒動です。
ブレグジットは東欧諸国からの移民の増加をきっかけに、労働者層を中心に盛りあがり、離脱派市民による、残留派の国会議員の刺殺事件を引き起こすほど激化しました。
23日の投開票中の主なトピック
イギリスとEUの関係に一石を投じたブレグジットは、2016年6月23日の投開票ではどのような経過をたどったのでしょうか。各ニュースサイトの配信記事から引用して見てみましょう。
欧州連合(EU)からの離脱を問う英国の国民投票が23日、始まった。世論は依然として拮抗しており、投票の結果は見通せない状況だ。主要政党や新聞も残留派と離脱派に二分されている。
引用:英国民投票始まる、EUに残留か離脱か(CNN.co.jp)
英BBC放送によると、24日午前5時(同午後1時)現在、382カ所の開票所のうち332カ所の集計が終了し、離脱が51・7%、残留が48・3%だった。BBCは開票による情勢分析を受け、離脱派が勝利すると伝えた。
欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票は24日、離脱を求める票が残留を上回ることが確実になった。英国は28~29日に予定するEU首脳会議で離脱を正式に通告するとみられる。これを受けてEUが対応を協議し、約2年間の離脱協議が始まる見通しだ。
引用:英、EU離脱へ 国民投票でBBCなど報道(日本経済新聞)
このように、残留派が優勢とされた直前までの事前予想をくつがえし、約107万票差で離脱を求める離脱派が多数を占め、イギリスはEU離脱に向けて本格的に動きだすこととなりました。
ブレグジットの実現とカードローンにもたらす影響とは
今後の国際関係に大きな影響を及ぼすことが予想されているブレグジットは、カードローンの借り入れにどのような影響が予想されるでしょうか。
銀行の業績悪化懸念と銀行系カードローンのサービス内容引き下げ
既に為替・株式に大きな影響を及ぼしているブレグジットのもっとも大きな影響が予想されるのが、銀行や証券会社に代表される金融セクターです。
イギリスはロンドン・シティを中心とする世界最大規模の金融取引市場を持ち、ブレグジットによるイギリスの信任低下は、ロンドン・シティに悪影響を与える可能性は大きいといえます。
そうなれば欧米の投資銀行を抜いて世界最大級の資産規模を持ち、国内市場の縮小による海外進出を本格化させているメガバンクへの業績を直撃する可能性は否定できません。
国内では企業融資よりも個人向け融資に軸足を移している昨今、銀行の業績悪化は銀行系カードローンのサービス内容の引き下げを招くことは否定できません。
日本経済の減速とカードローンのサービス内容の引き下げ
ブレグジットが現実のものとなれば、グローバル化による経済の一体化が進んでいる世界経済に一石を投じただけではなく、リーマン・ショック以降相次ぐ経済危機により減速気味の世界経済にさらに打撃を与えることも予想されます。
特に製造業の海外進出が進んでいる日本経済は外需に頼る部分が大きく、世界経済の減速が経済の成長に大きく影響することとなります。
既にアベノミクスとして打ちだされた金融緩和の効果も薄れつつある現在、世界経済の減速は日本経済により大きな影響を与えて、個人向け金融サービスの引き下げを招く可能性があります。
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ブレグジットはカードローンに影響するのか
気になるのは、ブレグジットは本当に上記のような影響をカードローンに対して与えるのかという点です。
ここまで述べてきた内容そのものはかなり極端であり、この内容がそのまま実現する可能性は極めて低いものの、その動向によってはカードローンに何らかの影響があることは否定できません。
おわりに
為替・株式に既に大きな影響を与えているブレグジットは、今後の動向次第では世界経済・日本経済に大きな影響を与えることが予想され、その動向が注目されます。
ブレグジットが直接カードローンに何らかの影響を及ぼすことは考えにくいですが、用心するにこしたことはないでしょう。