配偶者控除の見直しとカードローンへの影響_アイキャッチ

配偶者控除の見直しとカードローンへの影響

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自民党税制調査会の宮沢洋一会長が、配偶者控除の見直しの方針を明らかにしました。
そもそも、配偶者控除とはどのような制度なのでしょうか。また、今回の見直しはカードローンの申し込み・借り入れに影響するのでしょうか。
今回は、配偶者控除の見直しとカードローンへの影響を見てみましょう。

共働き世代に有利になる?配偶者控除の見直し方針

最初に、今回報道された配偶者控除の見直し方針について、主要各紙から引用して見てみましょう。

政府・与党は、専業主婦世帯などの優遇だと指摘されている、所得税の配偶者控除の見直しに着手する。かわりに、共働き世帯にも適用する「夫婦控除」を導入する案が有力だ。安倍政権が「働き方改革」を掲げる中、女性の社会進出を後押しするねらいだ。
9月以降、政府や与党の税制調査会などで本格的な議論に入る。自民党の二階俊博幹事長は30日の記者会見で、「(女性の社会進出が進むなど)時代の変化をとらえて税制を適切に変えていくことは必要だ」と述べ、党税調で配偶者控除の見直しを議論することを表明した。早ければ2018年からの実施をめざす。
(後略)

引用:配偶者控除、見直しへ 専業主婦世帯の一部、負担増も:朝日新聞デジタル

自民党の宮沢洋一税調会長は29日、日本経済新聞のインタビューで、2017年度税制改正で専業主婦世帯を優遇する所得税の配偶者控除の見直しを検討すると表明した。同控除を廃止し、共働き夫婦にも適用する新しい控除を18年1月にも作る案が有力だ。伝統的な家族観や社会構造の変化にあわせ、女性の社会進出を阻む壁をなくしつつ、結婚を税制面で後押しする狙いだが、与党内には慎重論もある。
(後略)

引用:配偶者控除見直し検討 自民税調会長が表明:日本経済新聞
このように各紙で微妙にトーンが異なるものの、税制を検討する自民党税制調査会が配偶者控除の見直しに動きだしたことでは内容は一致しています。

配偶者控除とはどのような制度なのか

では、今回見直しの対象となった配偶者控除とは、どのような仕組みなのでしょうか。

扶養者の負担を軽減することを目的とした「配偶者控除」

配偶者控除とは、その年の12月31日時点で、

  • 民法の規定による配偶者(内縁関係の人は該当しません。)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないか、又は白色申告者の事業専従者ではない

の全てを満たす「控除対象配偶者」がいる納税者に対して、一定の所得控除をおこなう優遇制度のことです。

一般の控除対象配偶者は38万円、老人控除対象配偶者(12月31日時点で70歳以上の人)は48万円が控除され、これとは別に配偶者が障害者であれば、27万円の障害者控除(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が設けられています。

100万円の壁・103万円の壁・130万円の壁・141万円の壁

このように配偶者控除は納税者にとって無視できない優遇制度ですが、配偶者控除は女性の社会進出を妨げているという声も根強く聞かれます。
その大きな根拠となっているのが、「100万円の壁・103万円の壁・130万円の壁・141万円の壁」です。

この中でもっとも有名なのが、給与収入が配偶者控除の対象から外れる103万円をめぐる「103万円の壁」と呼ばれる事例です。

この他に特に取りあげられる機会の多い事例としては、

  • 税法上で配偶者控除の対象外となる「141万円の壁」
  • 住民税の課税対象となる「100万円の壁」
  • 保険の扶養から外れて国民健康保険や国民年金に加入する「130万円の壁」

などがあります。

税制の見直し検討とカードローン利用の可能性

報道されているように、現時点では見直しの検討に着手しただけであり、その内容は全く決まっていません。
しかし現時点で扶養者控除の対象となっている世帯には今回の見直しは負担増となる可能性は大きく、就労調整をしていれば何らかの対策が必要となりそうです。

もっとも確実なものとしては現在の勤務先でのシフトを増やすことが考えられますが、実際の内容が決定してからシフト調整するのはあまり現実的とは言えません。
また、配偶者控除の見直しによって正社員での共働きが収入面で有利になれば、非正規雇用から正規雇用に切り替えるために退職して一時的に無収入になるなど、お金のやりくりで一時的に大きな負担が考えられます。

このような一時的なお金の不足を穴埋めするためには、カードローンは有力な選択肢。転職先が決まらないなどの収入減が予想される状況でのカードローンの借り入れは避けるべきですが、そうでなければ有力な候補と言えます。

おわりに

配偶者控除の見直しの検討が公表されたものの、その内容については今後の議論の対象であり、その内容は全くの未定です。
しかし、現状の方向性では配偶者控除の縮小に進む可能性は大きく、給与収入以外のお金のやりくりの手段を確保しておく必要がありそうです。

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