ファミリーマートとゆうちょ銀行の提携とカードローンへの影響

ファミリーマートとゆうちょ銀行の提携とカードローンへの影響

ファミリーマートとゆうちょ銀行の提携とカードローンへの影響

コンビニエンストア「ファミリーマート」を運営するユニー・ファミリーマートホールディングスとゆうちょ銀行の協議が難航し、協業の目玉とされたファミリーマート店舗へのゆうちょ銀行ATMを導入が難しいことが報道されています。
この提携はカードローンの借り入れ・返済に欠かせないコンビニATMの動向にどのように影響するのでしょうか。これまでの流れと、今後の動向を見てみましょう。

ファミリーマートのATM運用体制と今後の動向

今回の協議難航の影響を見る前に、現状のファミリーマートで提供されているATMと、ゆうちょ銀行との提携によって期待される効果を見てみましょう。

コンビニATM管理専業の「イーネット」による運営体制

現在ファミリーマート店舗に設置されているATMは、ファミリーマートブランドのATMではなく、「イーネット」ATMとして運営されています。
イーネットはコンビニエンスストアのATMの保守管理・事務受託業務等を主要業務として設立され、コンビニに限らず従来の店舗外共同ATMの業務も請け負っています。
イーネットはあくまで金融機関のアウトソースによりコンビニATMの管理を請け負うだけであり、セブン銀行やイオン銀行のようにイーネット自身は金融業務をおこなっていません。
そのため、イーネットは業種としては「金融業」ではなく「サービス業」に位置づけられる点が大きな特徴となっています。

現在、ファミリーマートやサークルKサンクス、スリーエフの大部分の店舗に導入されているコンビニATMはイーネットが管理・運営しています。

イーネットATMからゆうちょ銀行ATMへの転換

このような状況下で、ファミリーマートと日本郵政は2016年4月に業務提携を発表、物流やATMで業務提携することを発表します。
ATM提携の具体的中身は、現在ファミリーマート店舗に設置されている約1万1600台のイーネットATMを2018年から3年程度でゆうちょ銀行ATMに置き換える計画でした。
しかしゆうちょ銀行ATMへの切り替えによりゆうちょ銀行に支払う手数料が高くなる懸念や、ATMの80%以上をファミリーマートに設置するイーネットの事業継続に対する不安などが噴出。協業計画は暗礁に乗り上げることとなります。
現在、ファミリーマート店舗のATMの置き換えは暗礁に乗り上げているものの、ファミリーマートと2016年9月に経営統合したサークルKサンクス店舗のATMは、当初計画通りに17年1月からゆうちょ銀行ATMへ切り替えるとされています。

独自の金融サービスを持ちつつある流通業界

コンビニ業界トップのセブン-イレブンは、流通業界の先陣をきって1999年(平成11年)11月にグループ内部に「セブン銀行」を設立、ATMサービスを柱とする金融サービスの提供をはじめました。
コンビニ業界3位のローソンも、全国のローソン店舗に設置されているローソンATMを発展・解消させる形で銀行業への参入を目指し、2016年9月24日に三菱UFJ銀行と合弁で準備会社の設立を発表しています。

これらの金融サービスをめぐる動きに対して、業界2位のファミリーマートは、金融サービスの提供には進まず、イーネットと連携してコンビニATMの運営に専念していました。
しかし複数の出資者の意見を取りまとめる必要から、どうしてもセブンイレブンやローソンと比べると新サービスの導入や改善で意思決定に時間が掛かるとの不満があったと言われています。
ゆうちょ銀行との提携によりファミリーマートはセブン-イレブンとローソンに対抗することを狙い、ゆうちょ銀行は手数料ビジネスの強化を狙っていました。
協議の難航が明らかにされたたものの、双方にメリットの大きいこの協業が失敗する可能性は低く、中長期的にはともかく、短期的にはコンビニATMをめぐる環境は現状維持となりそうです。

カードローンの利用にはイーネットとゆうちょ銀行のどちらが有利?

コンビニATMの勢力争いの行方も気になりますが、カードローン利用者にとっては借り入れ・返済の対応がもっとも気になるポイントです。
大部分のカードローンはイーネットATMを含むコンビニATMの借り入れ・返済に対応しています。
しかしゆうちょ銀行ATMでの借り入れ・返済に対応しているカードローンはコンビニATMほど多くはありません。
協業が進めば、必然的にゆうちょ銀行ATMの借り入れ・返済に対応するカードローンの数の増加や借り入れ・返済の手間が小さくなることが期待できます。

おわりに

協議が暗礁に乗り上げたとの報道があった直後の10月28日、ゆうちょ銀行の運営する小型ATMが設置されることが発表されました。
今後も着実に協業が進むことが期待されます。

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