注目を集める「セブン銀行」の業態とカードローンの関係

注目を集める「セブン銀行」の業態とカードローンの関係

注目を集める「セブン銀行」の業態とカードローンの関係

アベノミクスの失速やマイナス金利政策の導入、インターネットバンキングの普及により、金融サービスを提供するメガバンクや地方銀行、信用金庫の経営は難しくなる一方と言われています。
そんな中、創業から安定して業績を伸ばしていることで注目を集めているのが、流通大手セブン&アイグループ傘下の「セブン銀行」です。成長を続けるセブン銀行の秘密と、カードローンとの関わりを見てみましょう。

金融ビッグバンをきっかけに設立された「セブン銀行」

セブン銀行は、1999年(平成11年)11月にイトーヨーカ堂とセブン-イレブンが主体として、IYグループ(現在のセブン&アイホールディングス)店舗に小型ATM(コンビニATM)を設置する決済銀行が前身です。
翌2001年(平成13年)4月10日に「株式会社アイワイバンク銀行」として設立されて同年5月7日に開業、2005年(平成17年)10月11日に商号を現在の「セブン銀行」に変更しています。
セブン銀行の主な収益源は、グループ各店舗に設置した現金自動預払機(ATM)の利用手数料であり、決済(現金出納サービス)専業銀行という新しいビジネスモデルが特徴です。

安定して業績を伸ばすセブン銀行の秘密

手数料は相手の自由に。発想の転換で安定した収益を確保

セブン銀行ATMの最大の特徴が、手数料設定の自由化です。
セブン銀行に限らず提携金融機関・コンビニATMで提携金融機関の口座から出金すると利用手数料が発生しますが、手数料設定はATM設置行が設定するのが一般的でした。
セブン銀行ではATM利用者が提携金融機関に払う手数料設定を提携金融機関に一任。他のコンビニATMよりも有利な条件を設定できることで他のコンビニATMよりも利用回数を確保することで、安定した収益を確保しています。
セブン銀行の収益全体に占めるATMサービスによる比率を見てみると、2015年3月期で94%となり、当初の目的どおりにATM事業が収益の大きな柱となっています。

コスト削減と利便性向上に貢献した「売上金入金サービス」の強み

ATMを活用した新たなサービスとして創業と同時にはじめられたのが、売上などのまとまったお金を専用入金カードでセブン銀行ATMに入金する「売上金入金サービス」です。
セブン銀行ATMを設置しているセブン-イレブン店舗からはじまった売上金入金サービスは、毎日現金の出入りが発生する職業を現金保有リスクから開放するサービスとして歓迎されました。
この売上金入金サービスはセブン銀行にもメリットのある仕組みとなっていて、入金するときに発生する手数料収入が期待できるほか、毎日のまとまった入金により日中の出金需要との釣り合いが取れ、資金調達コストを大きく下げることに成功しました。

規模拡大を続けるセブン銀行とカードローンの関係

このように従来の銀行とは異なる視点に立ったサービスを提供することで、伸び悩む銀行業界の中で成長を続けるセブン銀行ですが、カードローンとはどのような関係があるのでしょうか。
一部のごく小規模なカードローンサービスを除き、基本的にカードローンサービスは借り入れ・返済の手段として提携金融機関・コンビニATMを含めています。
提携コンビニはローソンATMを設置するローソンやE-net(イーネット)と提携するファミリーマートなどのユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のコンビニと並んで、セブン銀行ATMを設置しているセブン-イレブンも含まれています。
ATMサービスごとの設置台数を見てみると、

  • セブン銀行ATM…約2万3千台(2016年10月末時点)
  • ローソンATM…約1万1千台(2016年11月末時点)
  • E-net ATM…約1万3千台(2016年10月末時点)

と、セブン銀行ATMは競合するローソンATMとE-net ATMそれぞれの設置台数の倍近い数を設置しています。
これにより利用者から見ると他のコンビニATMと比べて利用頻度が高く、セブン銀行側から見れば利用回数の増加による手数料収入が期待できます。
カードローンの借り入れ・返済でセブン銀行ATMの利用が増えるほど、セブン銀行の収益の柱であるATM事業に貢献することが期待できると言えるでしょう。

おわりに

コンビニ大手の中では唯一独自の銀行サービスを提供しているセブン銀行は、ATMによる決済専業銀行という独自の業態により注目を集めていますが、その勢力拡大や利便性向上はカードローンの借り入れ・返済にも良い影響が期待され、今後の更なるサービス改善が期待されています。

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