
最高裁裁判所の統計(速報値)により、個人の自己破産申請が13年ぶりに増加したことが明らかになりました。自己破産が増えた背景には、増加するカードローンの貸付残高と返済トラブルが大きく影響しているようです。
今回は、カードローンの利用がどのように自己破産の増加に影響しているのかを見てみましょう。
13年ぶりの自己破産増加とカードローンの影響
個人の自己破産の申請が2016年に前年比1.2%増の6万4637件となり、13年ぶりに増加したことが10日、最高裁の統計(速報値)で明らかになった。自己破産はこれまで、消費者金融などへの規制強化で減少が続いてきた。増加に転じた背景には、無担保で個人に融資する銀行のカードローン事業の急拡大があるとみられる。
個人の破産申請は、1990年代後半に急増。2003年に24万2357件まで達した後、翌年から2015年までは12年連続で減少した。
(後略)
引用:自己破産、13年ぶり増加=銀行のカードローン急拡大-16年:時事ドットコム
カードローンの返済方法「リボルビング払い(リボ払い)」とは
カードローンの返済方法は貸金業者・銀行を問わず、リボルビング払い(リボ払い)での返済になります。そもそもリボ払いとはどのような返済方法なのでしょうか。
リボ払いは、一括払いや分割払いと並ぶ返済方法の1つであり、全体の「支払残高」に応じて、毎月の支払額(元本返済と手数料額の合計)があらかじめ決められているのが特徴です。
大きく3種類に分けられるリボ払いの返済方法
元金と利息を合わせた借入残高に対して毎月一定金額の返済を進めるリボ払いは、返済金額の扱いにより、定額・定率・残高スライドの3種類に分けることができます。3種類それぞれの違いについて見てみましょう。
毎月一定額の返済をおこなう「定額方式」
リボ払いのうち、毎月一定金額の返済をおこなうのが「定額方式」です。定額方式は利息の扱いにより、「元利定額リボルビング方式」と「元金定率リボルビング方式」の2つのタイプに分けられます。
毎月一定率の返済を進める「定率方式」
借入残高に関わらず、毎月一定率の返済を進めるのが「定率方式」です。利息を含める場合は「元利定額リボルビング方式」となり、元金のみの返済となれば「元金定率リボルビング方式」となります。
定率方式は借入残高に対して常に100%未満の返済となるため、完全な精算のために返済の最終段階では借入残高全額の返済を明示的に求めるという特徴があります。
借入残高に応じて返済金額が増減する「残高スライド方式」
「定額方式」と「定率方式」は返済が完了するまで一定額もしくは一定率での返済となるのに対して、借入残高に応じて返済金額が変動するのが「残高スライド方式」です。
残高スライド方式は定額方式・定率方式と同様、元金と利息の扱いによって、より細かいいくつかの返済方法に分けることができます。
知っておきたいリボ払いのメリットとデメリット
このように細かく見るとさまざまな返済方法があるリボ払いですが、一括払いや分割払いなど他の返済方法と比べると、メリット・デメリットの影響が非常に大きいのも特徴の一つです。
リボ払いのメリットとして代表的なものが、毎月の返済金額が一定額(一定率)になるため、返済の負担が図りやすく、余裕を持った返済につながることがあげられます。
反対にデメリットとして、利用実績に関わらず返済残高が一定であるため、利息負担が大きくなりがちであり、最終的な返済負担が大きくなる傾向があることがあります。返済金額のほとんどが利息の返済に充てられ、元金の返済が進まないケースもあるようです。
カードローンの返済で失敗しないために気をつけたいポイント
カードローンの一般的な返済方法であるリボ払いは、安易な利用が大きな負担の原因になる手軽さと危険が隣り合わせの返済方法です。
トラブルなくカードローンを利用するためには、デメリットを避けた利用が欠かせません。カードローンの返済で失敗しないためのポイントを見てみましょう。
低利率のカードローンを選ぶ
返済方法を問わず、返済時に高い利率が発生する商品は最終的な返済負担を大きくする傾向があります。カードローンを選ぶときには、できるだけ低利率のカードローンを選ぶことが重要です。
利用目的を決めて、無駄な借り入れをしない
さまざまな用途に使えることがカードローンの大きな魅力の1つですが、安易な利用は無駄な借り入れを増やすことであり、返済金額に直接影響してきます。
カードローンの借り入れをするときには、できるだけ1つの目的に絞って借入金額を大きくしないことが肝心です。
随時返済(繰り上げ返済)を活用する
リボ払いでの返済は定例返済として扱われますが、ほとんどのカードローンでは定例返済の他に随時返済(繰り上げ返済)に対応しています。任意のタイミングで返済をおこなう繰り上げ返済は、定例返済と違い返済金額が全額元金の返済に充てられるため、より早期の返済が実現できます。
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おわりに
手軽で便利なお金の借り方として根強い人気があるカードローンですが、その特徴の重要な要素であるリボ払いは、安易な利用が大きな金銭的負担や失敗を招く原因にもなります。
リボ払いのメリット・デメリットを把握した上で、デメリットを回避する返済方法を知る必要があると言えるでしょう。